ストックオプションが税制適格であるためには、所定の要件を満たす必要があります。
主な要件は以下のとおりです(※)。
(1) 会社法に沿って発行された新株予約権で、無償で発行されたものに限ります(会社法施行前の商法等についての移行措置もあります)。
(2) 以下の比率を超えた株式を有する大口株主とその親族等は、この適用を受けることはできません。
・上場株式の場合 ・・・ 発行済株式総数の10分の1超
・非上場株式の場合 ・・・ 発行済株式総数の3分の1超
(3) 権利行使価額が年間1,200万円を超えた場合、超えた部分は税制適格となりません。
(4) 新株予約権等に係る契約において、次に掲げる要件が定められている必要があります。
- 新株予約権等の行使は、付与決議の日後、2年を経過した日から、10年を経過する日までの間に行わなければならないこと。*1
(なお株主総会決議によって、取締役会決議により権利を与えることを委任している場合の「付与決議」とは、租税特別措置法29条の2の規定より、取締役会決議を指すと解釈すべきでしょう) - 権利行使価額の年間の合計額が、1,200万円を超えないこと。
- 1株当たりの権利行使価額は、新株予約権等に係る契約の締結時における、1株当たりの価額に相当する金額以上であること。
- 新株予約権については、譲渡をしてはならないこととされていること。
- 新株予約権等の行使に係る株式の交付が、会社法に反しないで行われるものであること。
- 行使により取得する株式について、会社と金融商品取引業者等との間で、あらかじめ締結される株式の管理等信託に関する取決めに従い、株式取得後直ちに、会社を通じて金融商品取引業者等の振替口座簿に記載・記録され、金融商品取引業者等の営業所等に保管の委託・管理等信託がされること(法定の要件を満たしたものに限る)。
*1 令和5年税制改正において、設立から5年未満の未上場企業については、「2年を経過した日から15年を経過する日まで」への延長が予定されています。
また権利者が行使をする際、付与決議の日において大口株主ではないことを誓約し、かつ以下の事項等を記載した書面を会社に提出した場合に限り、税制適格となります。
a. 提出者の氏名、住所等
b. 行使をする新株予約権等の付与決議があった年月日
c. 行使をする新株予約権等に係る契約において定められている事項のうち、当新株予約権に係る株式の種類、数、1株当たりの権利行使価額
d. 新株予約権等の行使により振替又は交付を受けようとする株式の数
e. 行使日の属する年において既に当新株予約権等の行使をしたことがある場合には、その新株予約権等の行使に係る株式の数、権利行使価額、行使年月日
f. 行使日の属する年において既に他の税制適格ストックオプションの行使をしたことがある場合には、そのストックオプションに係る付与決議のあった会社の名称、本店所在地、そのストックオプションの権利行使価額、行使年月日
g. その他参考事項
会社はこの書面を、法定の方法により提出日の属する年の翌年から5年間、保存する必要があります。
また税制適格ストックオプションを発行した会社は、法定の方法により特定新株予約権等の付与に関する調書を、付与日の属する年の翌年1月31日までに税務署長に提出する必要があります。
また金融商品取引業者等は、法定の方法により特定株式等の異動状況に関する調書を、毎年1月31日までに税務署長に提出する必要があります。
※ 以上に記載するものが要件のすべてではありませんので、実際の適用にあたっては関連法規を調査されるなど十分にご留意ください。
( 関連条文等; 租税特別措置法第29条の2、租税特別措置法施行令第19条の3、租税特別措置法施行規則第11条の3 )
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