電子帳簿保存制度の概要

記事の公開日:2022年1月4日

電子帳簿保存は「できる」と「義務」の両方を含む制度です。
義務もありますので、留意が必要です。

※ 以下の説明は、制度の概要を理解しやすいよう、簡略化し、要件なども一部省略して記載しております。以下の情報だけをもとに実際の運用を行うことはできません。実際の運用にあたりましては必ず、国税庁のウェブサイト等でより詳細な情報収集をしたり、専門家にご相談されるよう、お願いいたします。


電子帳簿保存は、主に3つの制度で構成されています。

① 帳簿・書類を電子データとして保存できる
② 書類をスキャナで電子化して保存できる
③ 電子データで送受信した情報は、電子データのまま保存しなければいけない

③は2024年1月(令和6年1月)から義務化されます。当初は2022年1月から義務化予定でしたが、2年間延長されました。

①電子帳簿の保存(できる制度)

 総勘定元帳やBS・PLなどを、最初から一貫してPC等で作成した場合、電子データのまま保存できる制度です。
 これを選択しない場合は、紙での保存が必要です。
 紙の保存も電子保存も、保存期間は、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(青色繰越欠損金の生じた年は10年間)です。

 この適用を受けたい場合は、以下の要件を揃えることが必要です。

  • システムの概要書や仕様書、マニュアル等を備えつけておく
  • データ保存場所にPCやディスプレイ、プリンタ等を備えつけ、画面や書面に整然と明瞭に速やかに出力できるようにしておく
  • 税務署員による調査の際にダウンロードできるようにしておく 他

 市販のソフトで会計帳簿を作成する場合、ソフトに一般社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の認証マークが付されていれば、要件を満たしていることが確認できます。

②スキャナ保存(できる制度)

 請求書や領収書、契約書など、相手先から受領した書類や、自社が紙で作成した書類を、スキャナで電子化して保存できる制度です。
 これを選択しない場合は、紙での保存が必要です。
 保存期間は上述の①と同じです。

 この適用を受けたい場合は、以下の要件を満たすことが必要です。

  • スキャンは受領後、概ね2か月+7営業日以内に行う
  • 入力期間内に、一般財団法人日本データ通信協会が認定するタイムスタンプが付されている
  • 14インチ以上のカラーディスプレイとカラープリンタを備えつけ、画面や書面に整然と明瞭に速やかに出力できるようにしておく
  • 取引年月日、取引金額、取引先で検索できるようにしておく
  • 税務署員の調査の際にダウンロードできるようにしておく 他

 市販のソフトでスキャン保存する場合、ソフトにJIIMAの認証マークが付されていれば、要件を満たしていることが確認できます。

③ 電子取引の電子データ保存(義務)

 請求書や領収書、契約書などを電子メールで受け取ったり、送った場合、紙で出力するのではなく、電子データとして保存する必要があります。2024年1月以降、義務化されます。

 保存には改ざん防止のため、以下のいずれかの措置をとることが必要です。

  • タイムスタンプ付与
  • 履歴が残るシステムでの授受・保存
  • 改ざん防止のための事務処理規程を定めて守る 他

 また検索機能を確保すること、ディスプレイやプリンタ等を備えつけることも必要です。

 市販のソフトを利用してデータ保存をする場合、 ソフトにJIIMAの認証マークが付されていれば、要件を満たしていることが確認できます。


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