リース取引にかかる借手側の会計処理の概要は、日本基準とIFRS(国際財務報告基準)のそれぞれにおいて、以下のとおりです。
I. 日本基準
まずリース取引を区分します。次に、区分ごとに決められた会計処理を行います。
【リース取引の区分】
- ファイナンス・リース取引:中途解約不能で、リース物件の利益を借手側が実質的に享受し、かつ、使用コストを実質的に負担する取引
(1) 所有権移転ファイナンス・リース:リース物件の所有権が借手に移転すると認められるもの
(2) 所有権移転外ファイナンス・リース:(1) 以外
- オペレーティング・リース取引:ファイナンス・リース以外の取引
【区分ごとの会計処理】
- ファイナンス・リース取引:売買取引に準じた会計処理。リース資産とリース債務を計上。
(1) 所有権移転ファイナンス・リース:リース資産の減価償却は、自己所有の固定資産と同一の方法。
(2) 所有権移転外ファイナンス・リース:リース資産の減価償却費は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして算定。
- オペレーティング・リース取引:賃貸借取引に準じた会計処理。
II. IFRS(国際財務報告基準)
すべてのリース契約について、使用権資産とリース負債を、財政状態計算書に計上します。
免除規定として、リース期間が1年以内の短期リースと少額資産のリースは、賃貸借取引に準じた処理を選択できます。
IFRS第16号「リース会計」は2019年1月1日以降に開始する事業年度から適用されていますので、日本の3月決算法人の場合、2020年3月期から適用開始となります。
IFRSは日本においても連結財務諸表につき任意適用が認められています。また日本基準採用企業であっても、海外連結子会社がIFRSを適用している場合、IFRS第16号適用開始の影響を受けます。
III. 日本基準とIFRSの違い
日本基準はオペレーティング・リース取引について賃貸借取引となりますが、IFRSではそのような例外なしに、すべての取引について資産と負債をオンバランスする処理になります(短期リースと少額リースを除く)。
なお日本基準についても、IFRSに近い方法への見直しが進められており(2019年3月22日第405回企業会計基準委員会議事)、新基準の適用は2021年から2022年頃と予想されています。
(基礎となる会計基準:リース取引に関する会計基準(企業会計基準第13号 2007年3月改正)、同適用指針(企業会計基準適用指針第16号 2011年3月改正))
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